いぬとまめのうすいホン

おさかなシロフォン

男子水泳部員とお揃いの筋肉を痛めた

 

外がみちみちと暑い空気で満ちている中、冷房の効いた部屋ではてなブログをはじめた。

ネットの海で面白い文章や考察を見つけると、大抵はてなブログだった。

丸いアイコンやシンプルなフォントがずっと素敵だと思っていたので、自分で始められたことが嬉しい。

日記だったり、何かが高ぶったことだったり、思ったことを連ねていきたい。

 

 


左肩と首を痛めた。

 


痛みに耐えきれず整体にかかり、先生からは当然思いあたる節を聞かれる。

イベントでたくさんの荷物を運んだとか、応援上映でずっと二の腕を動かしていたとか、決定打になるものが無いのが辛い。

もしもあるとすれば一つ。日がな身体の左側を下にして横になっていたのである。

 

横になっていたというのは夜に睡眠をとっていて痛めた訳ではなく、

とても大変だった仕事を3月末に退職してから人生の夏休みを謳歌しており、部屋で横になってtwitterに張り付いたり、ずっと見たかったシリーズアニメを鑑賞したりしていたのだった。

何故左側なのかというと、相方が自分の左側に座ることが多く、

スマートフォンのいかがわしい画面を見せないように横になるには身体の左側を下にするのが最適であり、これが癖になってしまったのだ。

 

「もし原因があるとしたら、ここ最近左側を下にしてずっと寝ていました…」

「ずっと寝ていた!病気ですか??」

転職活動中で昼間にごろごろできる機会が多いことを伝えると、それはなによりという言葉をいただいた。

 


先生達がカルテを引き継ぐ際に、僧帽筋にテーピングをする指示が聞こえたので、どうやら岩鳶高校水泳部の橘真琴くんのチャームポイントとお揃いの筋肉を痛めたらしい。とても光栄である。

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姿勢の話から下っ腹が出ているようなシルエットになっていると指摘を受け、通勤のような運動もしていないので間違いなく腹が出てきていると言うと、下半身の筋力が弱っているだけなのでそれは無いですという謎のフォローも受けたのだった。

「決して名前を呼ばれても急に振り向かないように」という怪談じみたアドバイスをもらい、もみもみされて整体の扉の外に出た。

 

 


自転車に跨った途端土砂降りである。

 


整体に行く前に玄関を開くと昼過ぎとは思えない暗さで怖くて、ドアを思わず閉めてしまったけれど、自転車ということもあり傘は持ち出していなかった。

テーピングが剥がれるのはもったいないので、近くのタバコ屋さんのテント屋根の下に隠れる。

暴風雨になってきたので長丁場を覚悟し、雨宿りの場所を貸してもらう代わりに店先の自販機でミルクセーキを買った。

 

「そっちじゃなくてもっとこっちおいでえ」

曲がりなりにも関西である。タバコ屋のおばあちゃんに手招きされ、濡れにくいお店の扉前のスペースに居させてもらえることになった。

「自転車はおじちゃんが見とくから鍵いらんで~」

甘い飲み物一本で、店の周辺にいた警備のおじいちゃんが愛車の専属セコムになってしまった。

 


台風と同じくらい強い雨が降る。

ずぶ濡れになって走る人が行き交う。

店先に小学生の女の子2人が飛び込んできた。

傘を差しているので、辺りが暗かったことからちゃんと予測して持ってきていたのだろう。この時点で店先でミルクセーキを啜る成人よりも先を見通す力があることが伺える。

タバコ屋は兼駄菓子屋となっており、ワクワクを隠せない様子で2人は店内に入っていった。

 

それから少し経つと真夏の小学生の代名詞になりそうなタンクトップ短パンふっくら男の子が濡れ鼠になって自転車で突っ込んできた。

雨すごいなこれは大変やなと独り言をこぼしている。

成人が雨に向かって大きな声で独り言を呟いていると距離をとるかもしれないが、小中学生なら許す判定を出してしまう。

雨に降られながらも当初の目的のまま駄菓子屋に真っ直ぐ来るガッツは凄い。

ずぶ濡れの真夏の少年はしばらく雨を呆然と見つめた後、店の扉の方へ歩いてくると、先ほどの女の子2人がお買い物を済ませて店先に出てきた。

 

「どこ小?」

「四年生~、自分は?」

「俺中学1年やねん  何のお菓子好きなん?」

「これ~」

驚いた。初対面にも関わらず目が合った途端、自然体でお互いに積極的に交流を楽しんでいる。

前職で年に数回あったパーティーにて、すぐ無くなりそうな料理からふらふらと確保して、余計な会話をしなくて済むようにひたすら自分の口に運び、自社の上司から離れまいとコバンザメになっていた私とは大違いである。

特に小学生だからだろう、上下関係が曖昧でタメ口で話すのがまた良い。

駄菓子屋が子どもの社交場と言われるのはあながち間違いではなかった。

 


しばらくして閉店の時間になり、店じまいを始めようとするおばあちゃんから新品に近いビニール傘を貰った。

今度返しに来る旨を伝えると、大量にあるから要らないと言われる。

そのまま貰って帰るのもなんなので、代わりに駄菓子を買わせていただいた。

欲望のままに選んだのに、350円である。

即売会で欲望のままチョイスするとそれはすごい額になるのに、流石駄菓子、遠足の規定金額を軽々クリアできる。

 

 


普段は気を遣うのが不得手で、あまり人とは関わらずにスネークすることが多いのだが、大雨という共通の悩み事で色々な人と交流ができて楽しかった。

少しは小学生のコミュ力に近づけただろうか。

 

 

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緑色や青色の練りあめが好きだ。

これでしばらくお菓子には困るまいと思っていたが、雨が止んでから帰ってきた相方と一緒に、10分で殆ど食べ尽くしてしまった。